ファーストペンギンって?メリット・デメリットやセカンドペンギンとの違いについて紹介

「ファーストペンギン」という言葉をご存知でしょうか?ビジネスシーンでも使われることも多く、米国では敬意を込めて使われます。本記事では「ファーストペンギン」の意味、メリットやデメリット、セカンドペンギンとの違いについてご紹介します。

そもそもファーストペンギンとは?

「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛び込む果敢なペンギンを指します。最初に飛び込んだ勇気あるペンギンは死の危険を冒す代わりにエサをほかのペンギンより多く獲ることができることから転じて先行者利益という意味で使われることもあります。
「ファーストペンギン」という言葉は、ペンギンのある習性が語源となっています。ペンギンの群れには猿などに見られるようなボス、つまりリーダーは存在せず、「最初に動いた1羽に追従する」という習性があります。群れが危険に遭遇した場合は、リーダーの指示ではなく最初の1羽が率先して動いて安全を確認したあとに、他のペンギンたちが後に続くことで、群れ全体はその危険を回避します。危険を顧みず、真っ先に飛び込んだペンギンは身をもってその海が安全であると仲間に示すことができ、だれよりも確実に餌にありつけます。

ビジネスでの使用シーン

では、ビジネスではどのようなシーンで使われるのでしょうか。
ビジネスでは、リスクを承知でだれも足を踏み入れたことのない領域に挑むベンチャー企業の創業者や、従来の価値観に縛られず「新しい価値観」や「新しい技術の開発」にチャレンジする人を「ファーストペンギン」と言います。またリスクを承知で新分野へ果敢に挑戦し、利益を得た人を指す場合もあります。

ファーストペンギンとパイオニアの違い

ファーストペンギンに類似する言葉に「パイオニア」という言葉があります。パイオニアは未開拓の開拓者、先駆者という意味があり、ファーストペンギンとほぼ同等の意味となります。

ファーストペンギンのメリット・デメリット

では、ファーストペンギンにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

ファーストペンギンのメリット

  1. 先行者利益を獲得できる
    先行者利益とは新しい市場に最初に参入したり、新製品を最も早く導入したりすることで得られる利益のことを言います。ファーストペンギンとして市場に参入した場合、当然ながらライバル企業がいないため、「顧客をいち早く獲得することができる」「価格競争を回避できる」といったメリットが生まれ、後発者に比べ収益面で多くの利益を得ることができます。
  2. 市場の注目度が高まる
    ほかとは類似していない新規サービスや商品を展開することで業界の注目が集まり、それがひとつの宣伝効果になります。また、市場に新規サービスや商品を展開した際は、認知度を上げるために広告費用の投資が必要になりますが、ファーストペンギンの場合は低コストの広告で十分な注目を得ることができます。

ファーストペンギンのデメリット

  1. 参考にできる過去事例がないためリスクが高い
    通常、新しい分野にチャレンジする際は過去事例を参考にしてリスク対策をおこないますが、ファーストペンギンはそれができません。自分たちで想定できるリスク対策のみを講じることになるため、想定以上の失敗を負う可能性もあります。
  2. 経営手腕に依存
    新しい分野にチャレンジする場合、参考となる商品やサービスがないことから、戦略や勝ち筋をどう描くかは経営者自身の手腕に左右されます。市場の有無についても見極めが難しいため、経営者自らが常に判断していく必要があり、その負担が大きくなるでしょう。

ファーストペンギンになるためのポイント

目標とする人物を描く

目標とする人物をベンチマークに選定することで、その人物と比較した課題改善に取り組めます。比較することで自分だけでは気付けなかった課題を見付けることができ、より早くファーストペンギンに近づくことができます。

アートシンキングを身に付ける

アートシンキングとは、成果や評価、環境、才能、失敗、リスクといった現実世界の限界を飛び超えるアーティスト的思考法のことを言います。ファーストペンギンは過去の前例にとらわれず、常に新しい世界を生み出していく力が大切になります。そのためにも、社会の動向や世の中のトレンドに敏感になり、従来の既成概念に捉われない思考や感性が求められています。

STEAM教育を受ける

STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラエルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念のことです。変化が激しく先が読みにくいVUCA時代に適応していく「21世紀型スキル」を身に着ける教育手法のひとつとも言われています。新しい分野に果敢に挑戦していくファーストペンギンにおいて、リスクを減らすために「論理的思考」や「新しい技術を活用する力」、「価値を見つけ出す感性と探求心」は不可欠になります。

最新の技術やスキルに触れる

市場に存在しない新しいサービスを生みだすには、最新の技術やスキルに触れ、習得しておくことが必要になります。近年の成長市場においても、最新のIT技術や手法を用いて市場獲得をしているケースが多く見られます。たとえば、楽天グループ株式会社の創業者である三木谷浩史はインターネットでものを買うという文化が浸透していなかった時代に「インターネットは新しいインフラになる」ことを予測し店舗主体のECサイトの運営を始め、社会構造自体を大きく変革させることに成功しました。

セカンドペンギンについて

セカンドペンギンとは

ファーストペンギンに対して、セカンドペンギンという言葉も存在します。セカンドペンギンはファーストペンギンが海に飛び込み、危険がないとわかったら後を追う「二羽目のペンギン」のことを指します。ファーストペンギンが、リスクのある新分野に最初に挑戦する起業家ならば、セカンドペンギンはリスクが小さいことを確認してから行動する起業家のことを言います。

セカンドペンギンは市場を継続させる

では、セカンドペンギンはなぜ必要なのでしょうか。セカンドペンギンがいなければ、市場の継続性や成熟は起こらず、ファーストペンギンもただペンギンで終わりだからです。市場に新しいサービスを生み出したいと本当に思うなら、ファーストペンギンについていく勇気を持ち、ほかの人たちにもその方法を示すことが重要です。

セカンドペンギンのメリット3選

ファーストペンギンと異なり、セカンドペンギンにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

  1. 初期の宣伝広告費が少なくて済む
    すでに市場への認知はファーストペンギンが広めてくれています。そのため、セカンドペンギンは自社サービスや製品のブランド認知や訴求に重点を置くことができ、初期の宣伝広告費用が低く抑えられます。
  2. 先発企業の事例からリスク回避ができる
    ファーストペンギンの成功・失敗事例を把握したうえで参入できることが大きなメリットです。失敗事例から要因を分析してリスク回避できるほか、成功事例から自社にあう施策を見付け適用することもできます。また、無駄な投資をすることなく市場投入ができることも利点です。
  3. 少しの製品改良で優位な立場に立てる可能性がある
    先発の製品やサービスに対する市場の声をもとに少し改良することで、一気に優位な立場になれる場合があります。たとえば、近年のSaaS業界では、似たような製品がたくさん出てきており、ターゲット業界や企業規模に合わせて特色を変えています。ターゲットにずばり刺されば、非常に効率よく新規事業を展開していることになります。

まとめ

いかがでしたか。
「ファーストペンギン」「セカンドペンギン」それぞれメリット、デメリットがありますが、どちらかを選択するかは自社の状況、市場の動向を見ながら判断するべきです。また、個人の成長においても、役に立つ考え方だと思います。過去の前例にとらわれず、「自社の製品をさらに成長させる」「自社をさらによく変えていく」と考え、何事にも好奇心を持ち、自発的に動くファーストペンギンは、今後の時代にさらに必要な人材になっていくでしょう。

マーケティンググループ えもり

この記事の執筆者:えもり (マーケティンググループ)

社内業務での利用やお客様導入などでバインダやプロセスの開発を経験。
お客様向けにSmartDBのハンズオン講師も実施したことあります。
ブログを通してSmartDBの良さを伝えられればと思います!